Versant® Speaking Testは日本経済新聞社がピアソン社とのパートナーシップの元、日本国内で販売をしています。日本の教育業界、ビジネス界に浸透するのはこれから期待されているところですが、アメリカでは1990年代にOrdinate社で開発されて以来(現在はPearson社が運用)、長年の実績のある試験です。知名度はTOEIC® Speaking Testほどないのですが、Versant® Speaking Testは活用の仕方次第で、英語学習に大きく役立ちますので、試験の特性からどのような人にこの試験が向いているのかを考えてみましょう。

何を目的とした試験か
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公式資料に試験の目的が以下のように書かれています。
The Versant English Test measures both listening and speaking skills, emphasizing the candidate's facility (ease, fluency, immediacy) in responding aloud to common, everyday spoken English.
出典: Versant™ English Test  Test Description and Validation Summary

端的に言うと「英語のリスニングとスピーキングの基礎力がどれだけあるかを試験測る試験」という位置づけです。また、TOEIC® Speaking Testがビジネスパーソン向けであるのに対して、Versant® はcommon, everyday spoken English「一般的に毎日のように耳にする話し言葉の英語」が試験範囲です。日常的に使われる語彙や文型と会話の内容しか出てきませんので、全ての人に適した出題範囲と言えるでしょう。一般常識が理解できる中学生以上であれば、受験できるようなあまり教養を問われない問題が多いです。

Versant® では多くのビジネススピーキングテストが求めている論理的な話の展開力は問われません。あくまでも初めて聞いた事をリピートする力があるかや、常識的な一問一答の質問に答えることができるかといった基本的な力が問われています。この特性から考えると、この試験はこれからリスニング力をあげたいと思われている方、これから流暢さを上げていきたいと思っている「基礎固めをしたい方」に特に向いています。

評価指標とテストの内容から考えるwashback effect (波及効果)

22006413波及効果という言葉を聞いたことありますでしょうか。言語習得の課程で、試験を活用することによって得られる効果のことです。この試験の評価指標は以下4つです。
・文章構文
・語彙
・流暢さ
・発音
詳細はこちらの記事「VERSANTテスト対策」でご確認ください

つまり、これらの力を高めるトレーニングをしていくことになるので、この4つのスキルが結果的についていきます。また試験で行わないといけないタスクは以下の通りです。

・音読
・復唱
・Q&A(一問一答)
・文の構築
・話の要約
・意見を述べる ※評価対象外
詳細はこちらの記事「VERSANTテストの特徴」の<問題構成>でご確認ください

評価指標と問題形式を総合的に見てわかることは、「自ら話を組み立ててアウトプットする機会は無いのにスピーキング力を判定する」という点です。全てのタスクを受け身の姿勢で終えることができます。この点が、「自分の考えを述べなさい」といった質問が多い、積極的に話さないといけない一般的なスピーキング試験と比べると大きく異なります。

文を読むことができる、復唱することができる、「氷が溶けたら何になりますか?」「水」といった一問一答ができる、パズルのようにバラバラになった文を元に戻せる、聞いた話をもう一度伝えられる、といった基本的なことができるかだけを見られます。そして、それを瞬時にできるautomaticity「自動化」がされているほど身についているかを試されるわけです。

Versant® Speaking Test受験を学習に取り入れる利点
2614881音読する、復唱する、といった力を見られるタスクが多いということは、つまり日頃の英語への取り組み方やそのスキルが試されているという解釈をすることができます。例えばリーディングにおいては、初見の単語であってもphonics「音と文字の規則性」の理解に基づいて、読むことができるかと言う基礎力が見られています。文をリピートするタスクは、phonemic awareness「音を認識する力」がどれだけあるかを測られています。リピーティングやシャドーイングの練習を日頃からしている人であれば比較的簡単にできるタスクです。

一問一答ではネイティブが日常的に使われる単語ばかりが出てきます。日本の学校教育で教わる単語とは少々異なりますが、インターネット上で英語で情報を収集しようと思ったときには必ず知っていないといけない基本的な単語ばかりです。問題にスムーズに回答できるかどうかで単語学習を順調に行えているかがわかります。また、単語の並べ替え問題は、瞬時に英語の語順にズームを並べられるかどうかが問われていますので、基本的な文の作り方が身に付いているかどうかがわかります。短文を普段からスラスラ書き写す練習をしていれば、タスクのハードルはさほど高くありません。

長文を聞いて同じように話を組み立てる内容は記憶力のテストではないかと言う批判をよく受けますが、使う単語や文の流れが少々異なって話を組み立てても問題ありません。私たちは日常生活において、起きた出来事を他人に説明することが頻繁にあります。その力があるかどうかを問われますので、これも日々の英語学習の取り組みの中で伸ばせる力ですよね。聞いた話をまとめる訓練をしていけば確実に力がつきます。

基礎力を上げたい方にぜひVersant®を活用してほしい
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この試験を活用して学習を進めていく最大のメリットは、基本的な学習習慣が身に付くと言う点だと思います。また、流暢さが評価に大きく影響するため、自分を律して、早く話す流暢に話すことに意識を向ける癖がつくことにあります。気軽にいつでもどこでもパソコンやスマホから受験できる試験ですので、学習習慣の定着や上達したかどうかを把握し、弱点を強化するための現状分析に活用できます。学習成果が出ているのか不安だったり、何に向かって学習したら良いかわからなかったりしたときには道しるべになり得る試験です。リスニング力とスピーキング力の基礎固めをしたい方にオススメします。

 

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執筆者:江藤 友佳(えとう ゆか)
Y.E.Dインターナショナル合同会社CEO 

クレアモントマッケナ大学卒業後コロンビア大学大学院ティーチャーズカレッジで修士号を取得。大学時代に故ピーター・ドラッカーの授業を受け、組織開発に興味を持ち、PwCコンサルティングに入社。HR部門への異動が叶わず、人材育成に関わることもできる研修業界へ転職を決意。株式会社アルクで教務主任として多くの教材作成や企業研修、教員研修を担当した後に、楽天で英語化プロジェクトのco-leaderとして社員教育に従事。英語教育事業部の立ち上げ支援後に独立し、現在は教材制作の下請けやアドバイザリーサービスを提供している。

著書:『ロジカルに伝わる英語プレゼンテーション』『英語の数字ルールブック』『ビジネス英語リーディングの技術

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